2010年の企画展示

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 年の瀬 (2010年12月分)

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2010年も師走となり、お歳暮を贈ったり大掃除をしたりと年末に向けて忙しい時期になりました。
 日本には季節にあった年中行事がたくさんありますが、その中で最も盛大に行われるのがお正月で、「今年もよい年になりますように」という願いが込められています。そのためお正月にはたくさんの縁起物を飾ったり、1年の健康や家の繁栄を祈る食べ物を食べたりします。
 お正月に飾られる縁起物としては、門松やしめ縄があります。門松は神様が降りて来られる時の目印とされ、玄関や門外に立てられます。またしめ縄を飾ることで、飾った場所の内と外を区別し、家の中に災いが入り込むのを防ぐといわれています。(資料参照)
 そして、縁起を担ぐ食べ物としてはおせち料理があり、黒豆には1年間健康にまめに暮らせるように、数の子には子宝に恵まれますように等、使う食材にそれぞれ意味が込められています。(資料参照)
 また、大掃除や年賀状の準備も年の瀬に向けての大切な準備です。年の瀬の大掃除は「すす払い」と言われ、1年の汚れを落とすことで新年が気持ちよく迎えられるだけではなく、お正月に来られる神様に、綺麗な家へ来ていただくためでもあります。
 これらお正月の準備は大変ですが、28日までに終えるのがよいといわれています。しかし、28日までに終えられなかった場合は、29日は苦(九)に通じると言われているために避けて、30日に飾りつけを行います。31日になってしまうと「一夜飾り」と言われ、神様に間に合わせの印象を与えることになると嫌われています。
 年賀状は、江戸時代後期まで「年賀」として親戚やお世話になった人の家へ挨拶に回っていた習慣から生まれたもので、郵便制度の発達によって遠方の人へも年賀の挨拶が出来るようになりました。お世話になっている方々への感謝の気持ちを伝える大切なものですので、早めに準備をして元旦に届くようにしたいですね。
今回の展示は、日本の年中行事であるお正月に興味を持ってもらうとともに、みなさんがよい新年を迎えることが出来るようにと企画しました。日本の年中行事について書かれた本、大掃除の参考になる本や年賀状の書き方についての本、おせち料理の本などを展示しています。年の瀬に向けての参考にしてみてください。

 参照資料はこちらです

映像化された作品(2010年10月分)

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 多くの書籍が映画やテレビドラマなどに映像化されている中で、皆さんは、書籍を読んでから映画を見ていますか?それとも映画やテレビドラマを見てから書籍を読んでいますか?
今回展示をするにあたり、直木賞、芥川賞、本屋大賞、このミステリーがすごい!大賞の4つの賞の、過去10年間に受賞・ノミネートされた作品を中心に映像化された作品を選びました。特に本屋大賞ノミネート作品は、映像化された作品が多く、皆さんもCMや雑誌などで一度はその名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。
最近では、吉田修一の「悪人」や湊かなえの「告白」など、映画化される事によって小説が出版されて数年経ってから再び注目を浴びている作品も数多くあります。
また、今回取り上げた受賞作品の他にも、一畑電車が登場する「RAIL WAYS」や、仁摩サンドミュージアムが登場する「砂時計」と言った、島根に関係する作品も展示しています。「RAIL WAYS」は島根県平田市出身の映画監督、錦織良成監督が島根三部作の最終作として制作し、2010年5月に放映されたものです。「砂時計」は漫画家芦原妃名子が描いた少女漫画で、2007年3月にドラマ化され、2008年3月に橋口いくよによって小説化され、同年4月に映画化されました。
小説や漫画の映像化に関しては、読む人や見る人により意見はさまざまありますが、映像化され、人が演じることにより、小説では見つからなかった新たな発見があったり、今まで触れてこなかった文学作品に興味を抱くきっかけになるなど、映像化することでの良い面も沢山あるのではないでしょうか。
書籍として触れる機会が多い人、映像を見る機会が多い人と様々だと思いますが、双方の作品を一緒に展示することで、それぞれの良さを味わってもらえたらと思います。

怖い話、はじめました(2010年7月分)

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 夏の暑さをしのぐために、みなさんはどのような工夫をしていますか?
 四季がある日本では古くから暑さを避け、少しでも涼しさを感じようと様々な工夫がされてきました。例えば、風鈴や浴衣、夏になると発売される水羊羹や、葛を使った和菓子などもそのひとつです。他にも肝試しや怪談が夏の風物詩のひとつとなっています。
 私たちの周りにはたくさんの怖い話がありますが、古くから言い伝えられてきた怪談話としては、「お岩」という女性が出てくる『四谷怪談』があります。この話は古くから歌舞伎や落語の題材としても取り上げられ、現代においても京極夏彦が『嗤う伊右衛門』の題材とし映画化もされました。
 最近話題になったものとしては、都市伝説があげられます。これは、私たちの身近な場所や人が関係しているために真実味があり、インターネットやメディアの影響で多くの人に広まっています。また、山田悠介や宮部みゆきなどの現代のホラー作家の作品も人気があり、小説として読まれるのはもちろん、映画やテレビドラマ、漫画の題材になるなどして多くの人に楽しまれています。
 そして怪談・妖怪話として忘れてはならないのが、山陰と関わりの深い小泉八雲と水木しげるです。特に今この2人には注目が集まっており、小泉八雲は今年が生誕160周年、そして来日120年の年となるため、6月27日には式典が行われ、秋にも記念のイベントが予定されています。
 一方水木しげるは、今年の7月22日に鳥取県から「名誉県民」の称号を受けたり、NHKの連続テレビ小説では、奥さんがモデルとなった「ゲゲゲの女房」が放送されるなど話題を呼んでいます。
 今回は、みなさんに怪談や妖怪に触れることでぞっとした気持ちを感じて涼しさを感じてもらいたいと企画しました。昔からある怪談・妖怪話の本や、現代に書かれた本、また昔からある怪談・妖怪話をアレンジした現代の作品と、民間伝承から伝わった話を紹介しています。是非読んでみて下さい。

未来を開く新エネルギー(2010年6月分)

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私たちは、生活の中で膨大なエネルギーを消費しています。このことが、地球温暖化をはじめとする環境問題を引き起こし、更には生態系のバランスを乱す原因となっています。
 また、化石燃料は限りある貴重な資源であり、この調子で使用し続ければ、石油はあと40年ほど、石炭はあと160年ほどで尽きてしまうと言われています。
 このような点から近年、化石燃料に替わる「新エネルギー」の早急な開発と利用が求められています。「新エネルギー」とは、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電などのエネルギーのことを示します。新エネルギーは、二酸化炭素の排出量が少なく、エネルギーの多様化に貢献することが期待されています。
しかし、気候変動の影響を受けやすく、一度に供給できる量に限りがあり、設備設置にコストがかかる等のデメリットがあることから、現在は、補助発電として利用されるにとどまっています。
例えば太陽光発電、いわゆる太陽電池は、現在、人工衛星、街灯、携帯電話の充電器など比較的消費力の少ない機器の電源として幅広く活用されています。
また、市民の力で風力発電所を作ろうという活動も全国で広がりを見せ、2001年9月には「原発も地球温暖化もない未来を」を合言葉に、日本初の市民出資による風車『「はまかぜ」ちゃん』が北海道で運転を開始しました。『「はまかぜ」ちゃん』は総事業費約2億円のうち1億6000万円以上が市民出資によって賄われている為、市民風車とも呼ばれています。
新エネルギーは、日本が抱えるエネルギー問題や地球温暖化等の環境問題を解決へ導く可能性を持っており、今後、導入をより進めていく必要があると思います。これを機に、生活の中にあるエネルギーの無駄遣いを見直し、エネルギーの未来について考えてみませんか。

一畑電車(2010年5月分)

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最近、一畑電車が注目を浴びています。
その理由として、一畑電気鉄道が創設されて約100年を迎えることや、昨年(2009年)の3月に「デハニ50形」が引退を迎えたこと、そして、5月29日に一畑電車が舞台になっている映画「RAIL WAYS」が公開されるなどの理由があげられます。また、車両の引退や映画の公開に伴って、島根県立出雲歴史博物館では一畑電車の歴史を振り返る特別展「BATADEN」が開催されています。
 一畑電気鉄道は、明治45(1912)年に一畑軽便鉄道株式会社として創設されました。その一畑電車オリジナルの車両で(現在走っている車両は他の鉄道から譲り受けたもの)、日本最古級の現役電車として昨年まで活躍していたのが「デハニ50形」です。デハニ50形は1928年に製造された車両で、翌年の1929年から2009年までの80年間たくさんの人や物を運び続け、老朽化のために引退しました。
さて、この「デハニ」という車両の名前ですが、これは車両の特徴を表した「型式番号」によって付けられています。
「デ」は電動車両であること、「ハ」は普通車を表し、「ニ」は荷物室が付いているかどうかを示しています。「ハ」が表わしている普通車には「イロハ」の順で等級があるため、「イロハ」で3番目にあたる「ハ」が付いている「デハニ」は3等車となります。その他にも「ク」があり、これは運転席を持たない車両を表しています。そのため先頭を走ることがなく、複数両編成の中間を走ります。
映画「RAIL WAYS」の公開や特別展「BATADEN」が始まったことから、一畑電鉄出雲大社前駅では、引退した「デハニ50形」車両が7月4日まで展示されており、間近で見ることが出来ます。
 今回は、一畑電車に関する資料や、映画「RAIL WAYS」を手掛けた錦織良成監督の作品を展示しています。
みなさん、この機会に地域の歴史に触れてみてはどうでしょうか。
また、映画の公開前に一畑電車の歴史を知っておくのも良いかもしれません。

アイルランド(2010年3月分)

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松江では、毎年3月に「セント・パトリック・デー」というイベントを開催しています。参加者は緑の衣装を着て町を練り歩いたり、アイルランドの文化を紹介するコーナーが設けられ、年々盛り上がりを増しています。
セント・パットリックとは、アイルランドにキリスト教を広めた人で、彼の命日である3月17日前後に世界各地でお祭りが行われます。
 では、なぜ松江でアイルランドと同じイベントが開かれるのでしょうか?それは小泉八雲の父がアイルランド出身で、八雲自身も幼少期はアイルランドで過ごしたからです。
 今回は、セント・パトリック・デーをより楽しむために、アイルランドについて紹介します。
 アイルランドは北海道と同じくらいの島国で、「ケルト」と呼ばれる独特の文化を持ち、中でも「ケルト文様」や、工ンヤ、U2などアイルランドから輩出された音楽は、世界中から注目されています。また、隠岐の島の摩天崖(まてんがい)を思わせる「モハーの断崖」や、世界遺産に登録されているコーズウェイコースト(高さ24m、幅わずか1m、長さ20mの小さな吊橋が人気)など、美しい自然に囲まれたアイルランドに想いを馳せてみてはいかがでしょう?
 松江には、本学小泉凡教授が会長を務める「山陰アイルランド協会」があり、アイリッシュ・フェスティバルの開催や、アイルランドの文化を伝える活動をしています。
アイルランドやセント・パトリックデー・イベントに興味のあるかたは、ぜひ3月14日(日)、松江市の殿町・京店エリアに出かけてみてください。

文学の中の松江(2010年1月分)

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松江市では、2007年に開府400年を迎え、2011年までの5年間を「松江開府400年祭」と位置づけし、様々な行事を行っている。その趣旨には、「松江が培ってきた伝統的な文化、美しい風土、特色をあらためて市民に問い掛け、再認識してもらい、将来に向けてそれを維持、継承していくきっかけづくりの5年間」とある。

松江という町を未来へ継承し、さらに外へ向けてアピール、発信するためには、まずそこにいる人達が良さを知る必要がある。が、当たり前に住んでいるとその良さをつい見過ごしてしまう。

この度、「松江文学への旅」という本が改訂され、発行された。その名の通り、文学作品中に出てくる松江の情景などが抜粋され載っている。この本の編集者である藤岡大拙氏が言われるように書かれたものは、ほとんど随筆や紀行スタイルの叙景文であるが、小泉八雲を始め、芥川龍之介、志賀直哉、島崎藤村などそうそうたる文人によって描かれたもので、改めて松江の美しさを知ることができる。読むだけで情景が思い浮かぶ。意外と知らない松江にも出会うことができる。

さらに『和の心日本の美松江-三十六人の「松江物語」』には、著名人36によって書かれた松江でのエピソードが載せられている。いずれのエピソードも松江の良さを改めて知ることになるものばかり。たくさんの人と人とのつながりをも生んだ松江は、やはり素晴らしいまちだと思う。

みなさんにも、この機会に素晴らしい松江を是非知っていただきたいと思う。そして、松江を離れることがあってもそのことを伝えていくことが未来への継承につながるのではないかと思う