今月の展示
突然ですが、私の実家の話をします。私の実家では、いつも玄関の飾り棚に季節の飾り付けがされており、来客を出迎えています。私は、来客ではありませんが、季節の変わり目に実家に帰る楽しみの1つになっています。飾っているのは、父ですが、よくこんなことが思い付くなぁと感心し、参考にさせてもらっています。そこで大活躍しているのが、様々な織物です。季節に合わせた織物が飾りをより引き立てています。
日本の織物の起源は、照葉樹林地帯からの技術伝播によるものとみられ、少なくとも弥生 (やよい) 前期までには織物の製織が完成されていたようです。九州北部の弥生遺跡からは絹、苧麻 (ちょま) の織物片が出土、弥生前期の東限である名古屋・西志賀 (にししが) 遺跡からは、弥生土器底部に織物圧痕 (あっこん) が残存しているようです。また、機 (はた) 織りの道具は静岡・登呂 (とろ) 遺跡、奈良・唐古 (からこ) 遺跡のほか、各地の弥生遺跡から出土しているようですが、いずれも原始機の部品とされています。
島根県では、広瀬絣が有名です。島根県東部の安来 (やすぎ) 市広瀬町で生産される木綿絣で創始は文政 (ぶんせい) 年間(1818~1830)ごろから農家の副業として地機 (じばた) を用いて織られ、明治期には盛んとなり、明治末年には年産10万反といわれました。しかし、1915年(大正4)の大火以後は急速に衰退。第二次世界大戦以後は、わずかながら復興され民芸的生産が行われています。
今回は、そんな織物に焦点を当てて展示しました。簡単に使える織機も展示していますので、是非織ってみてください。※今回、展示している織物は、全て本学の塩谷先生の作品です
(目録はこちらです)
"織物", 日本大百科全書(ニッポニカ), JapanKnowledge, https://japanknowledge.com/lib/display/?lid=1001000042162 , (参照 2025-11-11)
島根県立大学・島根県立大学短期大学部松江キャンパス図書館