学生アルバイトオススメ本

第108回 いろんな言葉に出会いたい人にオススメ

オススメ本
  図書館 学生アルバイト 嶋田光紗
  私のオススメ
  『名前のないことば辞典』

   出口かずみ著
   遊泳舎 2021年2月発行


 情や状態、動作を表現する言葉として「オノマトペ」が存在します。どきどきする本、わくわくする冒険、あつあつのグラタン……日常でも使ったり目にしたりすることが多いのではないでしょうか。目にしたとき、口に出そうとしたとき、それらの意味を毎回考えますか?この本を読んだとき、オノマトペは何となく意味が分かっていて、相手にも共通して何となく伝わる言葉だなあと改めて感じました。そんなオノマトペがぎゅっと詰まっている一冊です。意味と例文のまとめられた項目が並んでいます、と言うと辞書みたいに感じられるかもしれません。そんなことは無く、くすくすっと笑ってしまうような例文と、それらの項目を用いた物語やコラムなども含めて普段何気なく使っている言葉やなかなか耳にしない表現に出会うことが出来るのではないかと思います。例えば私が一番好きだと感じた項目が以下の文章です。

 [すくすく] 人や動物、植物などが順調に育つ様子。
 【例文】「いいねぇお宅の子。すくすく育ってるじゃないか」近所のおじいさんは、いつもどこで買ったかわからないあめをくれます。

 言葉の意味に合わせた文章とそれに付随する日常風景が書かれており、今挙げた文章だと言葉の意味にあわせつつ、少し突拍子の無い「どこで買ったかわからないあめ」が登場して面白くて大好きだと感じました。
 いろいろな言葉に出会いたい人、なんとなくお話が読みたいけど長編や難しくない本がいいなあと思っている人、そんな風に思っている方がいればなんとなくこの本を開いて何気なく繰り広げられる言葉の海とちいさな物語の世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。
 

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