国際交流:韓国(参考資料)

現在の韓国の看護教育

 現在の韓国の看護基礎教育は,3年制看護専門大学または4年制の看護大学によって行われている。これらの教育課程を修了することが,看護師の国家試験受験資格を得るための要件として医療法により規定されている。国家試験に合格すると「登録正看護師」として認定される。2011年4月から,看護師免許更新制度が適用となっている。
3年制専門大学は,日本の短期大学に相当するものであり,1977 年に従来の3年制看護専門大学校(日本の専修学校にあたる)が昇格し,3年制看護専門大学の名称となった。教育プログラムの特徴として,3年制看護専門大学では,直接看護に対する臨床経験に重点を置いた教育が行われ,一方,4年制大学の学士学位課程では,看護理論と実践科目に焦点を置きながら,人文科学や社会科学など幅広い教育を受けるプログラムになっている。
 近年4年制大学数が増加し,2006年以降,4年制大学の数は3年制教育課程を上回り,教育の高度化が推し進められてきた。同時に,3年制専門大学卒業後,学士となるための1年間の教育課程も設けられ,基礎教育の学士レベルへの引き上げをはかっている。大韓看護協会によると,2009年現在,3年制看護専門大学校は59校,4制大学は85校である。 なお,2011年4月にすべての看護基礎教育を4年制大学化とする法案が可決され,2016年より施行予定となっている。
 さらに上級の看護実践課程としては,大学院教育のほか,1973年に上級実践看護職課程(Advanced Practice Nurse,APN,韓国ではこれを「専門看護師」という)がある。これは,看護師免許を取得した後に,保健福祉家族部長官が認定する教育機関で1年以上の教育課程を履修し,国家試験を受け,ある一定の疾患について診断や治療を含めたケアが行える。APNは,看護師としての3年以上の実務経験後,大学院またはその水準に準ずる専門看護師課程を履修後,専門看護師認定試験に合格する必要がある,認定後は毎年規定の補修を受講し更新手続きを要する。
 現在,この教育課程は2004年から大学院修士課程として認定・移行し,2006年2月現在,麻酔,精神,家庭,保健,高齢者,ホスピス,産業,重症患者,救急,臨床,感染,がん,小児の13科目が開設されている。コースにより内容・期間もさまざまであるが,APN資格取得となるには,該当専門分野での臨床経験が3年以上あり,かつ大学院またはその水準相当する教育課程を履修後,認定試験(1次試験:筆記,2次試験:口述または実技)に合格することが条件となる。認定後は年間8時間以上の講習を受け,5年ごとの更新手続きをとることが義務づけられている。また,韓国のAPNは国家資格であり,薬剤の処方権が認められている。 また,多くの病院では,独白のニーズに応えるために,看護スペシャリストの課程を設けて看護師を養成しているところが多い。それら専門領域は20以上に及び,クリニカル・ナース・スペシャリスト(CNS)と呼ばれている。領域としては経管栄養治療,人工肛門ケア,生活の質向上,感染管理,糖尿病教育,臓器移植ケアなどがある。CNSについては,職能団体・学会・病院独自の規定による。また,法律による規定はないが看護協会などが認定する資格として,たとえば認知症ケアや地域保健教育,医療保険コーディネーターなど様々な資格もある。