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私のオススメ本


第119回 優しい気持ちになりたい人にオススメ


オススメ本
   図書館司書 古德 ひとみ


   私のオススメ
   『よるのばけもの』
    住野 よる著
    双葉社刊 2016年12月

  
  皆さんは、自分の意見をはっきりと伝えられるタイプですか?私は、相手からどんな反応が来るかを想像して緊張してしまい、上手く言葉が出てこないことがしばしばあります。
本書の主人公の少年「安達」も、他人の反応を気にするという点で、そんな私と似ています。但し、タイトル通り、夜になると、全身真っ黒で六つの足・八つの目玉のついた化け物に変身してしまうという特殊な性質を持っています。
 ある夜、いつものように化け物の姿になった彼は、学校に忘れ物を取りに行った時に、偶然クラスメイトの少女「矢野」に見つかってしまいます。彼女は「夜休み」と称して、しばしば夜の学校に忍び込んでいたのです。この出来事をきっかけに、夜の学校での二人の交流が始まります。
 しかし、「昼」の彼は、彼女に一切関わろうとはしません。なぜなら、クラス内でいじめの標的にされている彼女に接触してしまったら、自分も同じ目に遭うかもしれないという不安があるからです。彼女が他のクラスメイトから嫌がらせを受けていても、黙認しています。一方「夜」の彼は、彼女と自然に会話をしています。このように「人目」があるかどうかで、彼の内面は著しく変化します。
 私は彼を見ながら、もしかしたら誰しもが、良くも悪くも「化け物」なのかもしれないと思いました。学校での自分、職場での自分、家庭での自分…環境に応じて色んな「自分」に「化ける」のではないでしょうか。しかし、そうした自分が生み出した「もう一人の自分」を、本当の意味での怖い「化け物」にしてしまわないように、時々見つめ直す作業が必要だと思います。自分に無理をしていないか、誰かを傷付けていないか…そうすることで、優しい「化け物」が増えていったら良いなと思います。
 皆さんの中には、「化け物」がいますか?  



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